更新日:2022/12/29
私は令和4年度に製図必勝プロジェクトを受講しました。
大手の学校と違って小規模の講座なのでレビュー記事がありませんでした。あっても古かったり・・・。なので受講しての感想をメリット、デメリットに分けてレビューをまとめたいと思います。
あくまでも個人の感想ですが、これから受講を検討している方の参考になれば嬉しいです。
12/6 追記:製図試験合格しましたー!
合格が分かったあとに感じたこともあったので最後に書き足しています。
製図必勝プロジェクトの基本情報
・製図必勝プロジェクトとは
2級建築士の製図試験のみに対応した通信教育講座です。進め方は配信される動画をみて知識を深めながら各自が勉強を進めて行くスタイルとなっています。
・講師
現役の住宅検査員の方がメインの講師を務められています。過去に製図試験の講師を他の所でも経験されていたとおっしゃっていました。講師の人数は明確にされていません。
少数精鋭で運営しているという発言から複数いるのかな?とは思っていましたが、問い合わせ対応や動画での解説は全て同じ方が対応されている様でした。
・勉強の進め方
はじめに基本となる平面図、立面図、伏図、断面図の書き方が書かれているテキストとエスキスの仕方を覚える為の課題集が届きます。それぞれ解説動画もあり、テキストと動画を見ながら自分のペースで学習を進めて行きます。
GW頃(時期は曖昧です)になると初心者が置いてけぼりにならないような基本学習動画がアップロードされ始めます。
テキストのみでは説明が難しい箇所の補足や、よく間違える部分の説明が入ります。令和4年度は「ひよっこ教室」と呼ばれており、全14回程度でした。
7月中旬頃、1回目の図面添削を終えた方に講師から見て、資格ありと判断された方は8月頃から「特習教室」への参加が出来るようになります(参加は任意です)
案内が無かった方、参加しなかった方は別の学習動画「虎ノ門」を見て引き続き学習を進めます。
令和4年度は受講生の学習状況を見て「虎ノ門」が「特習教室」に合併され全員参加型の特習教室に変更となりました。特習教室変わらず動画学習ですが、動画の中で次回更新までの課題が追加になっています。
課題と言っても図面提出ではなく、文章や選択肢から回答をするというものです。更新は3日間隔くらいでした。
この特習教室で試験直前まで勉強をします。試験1週間前とか結構ギリギリまで動画更新は行われていました。
長くなりましたが、学習の流れは以上です。
製図必勝プロジェクトのメリット
・めちゃめちゃ安い
料金が添削3回(希望者は6回まで可)が込みで43,000円です。
ここから更に割引もあり、1度不合格になった人は5,000円は割引、早期申込の人は更に5,000円割引。両方利用すれば33,000円で受講できました(令和4年度時点)
製図試験の講習としては破格だと思います。
他に夏期講習のようなものが9,000円程度で別途ありますが、受講は任意です。(受講生は5,000円に割引されます)
・自分の好きな場所、タイミングで進められる
通信講座の強みですね。
学習はテキストを読む、動画を見るだけなのでt割とどこでも勉強は進められます。毎週宿題が出るということもないので、動画を見るタイミング、学習のタイミングは自分で決めることができます。
製図必勝プロジェクトのデメリット
・質問、回答が文章でのやりとりのみ
これはどの通信講座でもそうかもしれませんが、質問・回答が基本的に文章です。
特筆して不便だったのはメールでの質問ではなく問い合わせだったことです(Googleフォームでした)。画像添付ができないのは面倒でした。
細かいニュアンスが伝わらなかった時は、講師の方が電話で連絡をくれます。完全に受け身の状態ですがこの場合は口頭質問ができます。
返信はメールで来るので、画像を添付してメールを送ることももちろんできるとは思いますが、ルールと違うかなと思って私はしませんでした。やってた受講生はいると思いますけどね
・他人の質問を見ることはできない
いい質問があれば動画内で情報共有をしてくれますが、それ以外に他人の質問を見る機会はありません。掲示板のようなものもないので、能動的に動かないと謎は謎のままです。
・講師が専門の仕事ではない
講師の方は現役の住宅検査員と謳っている通り、講師専門の方ではありません。
小規模とはいっても受講生は令和4年度は90名程とそれなりに多いです。夏以降の添削や質疑対応が込み合うタイミングの問い合わせの対応は回答がぶっきらぼうだったり、人によっては威圧的に感じるかもしれない回答もありました。
講師の方もその点は動画内でその点の言及と謝罪はありました。だからといってそれでいいのか? とは正直思いました。
・いわゆる昭和スタイル
年齢や見た目ではなく、説明の仕方やワードチョイスが昭和です。
上の方で先に説明しました【特習教室】で受講生の誤回答を反面教師的に紹介する場面がありました。その際の紹介時に「ここで珍回答を見てみましょう」ような小ばかにしたような言い回しをしており、不快感を覚えたというようなこともありました。
他の具体例は覚えていませんが所々で違和感を覚える言葉を使用や、表現があったことを覚えています。私はそういうどうでもいい細かい所でストレスを感じるタイプだったので、ちょっとしんどかったです。
・ガチの初心者にはあまり対応していない
初心者でもついてこれるような学習内容にしていると謳っていたので受講しましたが、あまりそのような感じは受け取れませんでした。
一式図それぞれの書き方をテキストで勉強できますが、かなり要点をまとめて書かれているので、このテキストだけで初心者が図面を書こうとすると結構大変です。
また必要な線の太さがテキストからはわかりにくいです。「わかりにくい」なのでちゃんと見ればもちろんわかりますが、あまり親切な書き方ではないと思いました。
どちらも知識がある今なら、「まあ最低限だけど確かちゃんと書いてはいるな」とは思えますが、受講したての私は「市販テキストの方がわかりやすいな!」とすぐに諦めました。
講座側の意図は分かりませんが、「建築の知識はあるけど製図は初心者」という方を初心者と呼んでいたのかなと今は思います。実際、学科は合格してるので知識あるでしょ?と言われたらまあ言い返しにくいですし・・・。
そういった面から、
「全く知識ないけど受験資格があったから受験してみたら学科合格できたー!
3ヶ月しかないけど独学は不安だから、安い製図必勝プロジェクトに参加しよー」
くらいの感覚でガチの初心者が受講するのはおすすめしません。
全く可能性が無いわけではありませんが、ただでさえ追い込まないと時間が足り無い試験です。かなりの覚悟をもって臨まないとつらい目に会うんじゃないかと思います。
もしそういった方で受講を考えている方がいれば、個人的には翌年度の受講・受験をおすすめします。
初年度は独学でやってみて「行けそうかな?」と思えたら製図試験を受けて、「無理無理w」という感じなら翌年に講習を受けながらの受験がいいと思います。
・テキストが必ずしも正しいとは限らない
誰しも間違いはあります。それは仕方ありません。
ただ、そこ間違えたままでテキスト配布してるの・・・?と未だに納得できていないことがあります。
・トレース用一式図のマス目が統一されていない。
平面図は4.55mmマスなのに立面・断面がなぜか5.00mmマスで書かれていました。元受講生の方が書いたと言っていた気がしますが、どうであれおざなりです。
・テキスト通りに書いても間違いを指摘される
矩計図には「換気用基礎パッキン」と書かれていて、部分詳細図の同じ箇所には「基礎パッキン」と書かれています。
矩計図の細かい箇所はどうしても見にくくなるので部分詳細図を見ながら部材名を覚えていきますが、先程のパッキンは矩計図の「換気用基礎パッキン」が正解です。
添削を受けると部分詳細図を参考にした場合、テキスト通りに書いてはいても当然指摘されます。
他の受講生も同じだったんでしょうね。動画内で「ここはみんなが間違えている!ちゃんとテキストを見て書いて!!」と言われます。
あまりに理不尽!!(笑)テキストを信じられなくなった瞬間でした。
・デメリットが多く、どんどん信頼できなくなっていく
半分愚痴のようにデメリットを書きましたが、受講中にこんな事があるとやはり不信感を抱きます。
上記のデメリットだけが理由ではないと思いますが、実際に講座の書き方通りに書いている方は令和4年度は少なかったようで、市販テキストや過去に通っていた学校の書き方を混ぜて書いている方が多かったようです。(まぁそうやろ・・・と思いました)
かく言う私も市販テキストで書き方を覚えた側ですし、今更講座の書き方に直すよりは
このまま練習していった方がいいだろうなと思っていました。
ただ、そういった流れの中で各社、各テキストの良いとこ取りをして、結果的に図面内で矛盾・不整合のある図面が多く出てきたと言っていました。
デメリットが大きいけど講座のやり方に沿うしかない
デメリットに書いたような図面の不整合が出てきても、自分自身に知識がないので書いた図面が合格レベルなのか、どこがミスしているのかは判断できません。
それは事実なので、市販テキストのままでいくか、講座の内容に切り替えようかは正直迷っていました。
その時に考えたことが下の3つです。
・市販のテキストだけで合格できるならみんな合格じゃない?
・市販テキストの方が簡略化されている箇所もあるけど、どっちが図面として正しいんだろう?
・このまま市販テキストの書き方で図面まとめた場合、添削しないとか言い出すんじゃないだろうか・・・
(3つめのは冗談じゃなくてマジでそういう流れになりそうな雰囲気がありました。)
1週間ほど悩んだ結果、私はこの講座の書き方でまた図面を覚え直しました。
市販のテキストで図面の書き順・書き方を習得し、そのあとで講座の書き方に矯正し直すめちゃめちゃ遠回りなやり方です。
ただ結果的には良かったんじゃないかとは思っています。書き方を変えたことに後悔はありません。
※一応言っておくと、どういう図面であれ添削はしてもらえました。
製図必勝プロジェクトで合格しました!
12/9追記
合格した後、Twitterでこちらの講座を受講していた方の合否も確認してみた所、ほとんどの方が合格していました!
結果論ですけど、合格した方に共通しているなーと感じたことは、課題にちゃんと取り組んでいた方だったなーということと、Twitterに上げた図面を互いに添削をし合っていたなーということです。
目に見える形で勉強に取り組んでいた、根性論的に言えばやる気のある人がしっかり合格していたように感じました。
本来はコミュニケーションを取れない通信講座ですが、Twitterを通じて協力的に取り組めていた部分で成績を底上げできていたように感じています。
さいごに
多分メリットってもっとあると思うんですよ、本当は。
けど、思い返せることって大半がデメリットなんですよね(笑)
悪い印象を与えるレビューになっているだろうとは思いますが、私は製図必勝プロジェクトを受講して良かったと思っています。独学だけではカバーしきれない知識が数多くありました。
特に伏図と矩計図ですね。これは独学だけだったら合っているかわからないままでかなり運否天賦になっていただろうなと思います。
100点満点の講座ではもちろんありません。不満も多々あります。それでも実際この講座から合格者が出ていることは事実です。
毒になるか薬になるかは、その人の気持ちと姿勢次第というような気がしました。
長々と色々書きましたが以上が受講したレビューとなります。読んでいただいた方の参考になれば嬉しいです。